親知らず
親知らずの抜歯について
親知らずが痛む、腫れてきた、斜めに生えていると言われたなど、親知らずに関する悩みを抱えている方は少なくありません。「抜歯は痛そう」「何度も通院しなければならないのか」といった不安を感じている方もいるでしょう。
当院では、口腔外科の専門的な知識と技術を活かし、できるだけ患者さんの負担を軽減した親知らず治療を提供しています。
当院の親知らず抜歯の特徴
予防歯科の観点から親知らずの抜歯を推奨
当院が最も大切にしているのは「予防歯科」という考え方です。問題が起きてから治療するのではなく、問題が起きる前に予防することで、患者さんの大切な歯を守ることができます。
親知らずに関しても、この予防の視点が重要です。斜めや横向きに生えている親知らずは、将来的に必ずと言っていいほど何らかのトラブルを引き起こします。智歯周囲炎による痛みや腫れ、親知らず自体の虫歯はもちろんですが、最も避けたいのは「手前の健康な第二大臼歯」への影響です。
第二大臼歯への影響について
親知らずが斜めに生えていると、その手前の歯との間に食べ物のかすや細菌が溜まりやすく、歯ブラシが届きにくい環境になります。その結果、親知らずだけでなく、手前の大切な奥歯まで虫歯や歯周病になってしまうのです。
第二大臼歯は、食べ物を噛み砕く上で非常に重要な役割を果たす歯です。この歯を失ってしまうと、食事の質や消化機能に大きな影響が出ます。「親知らずを残したために、もっと大切な歯を失ってしまった」という状況は、予防歯科の観点から最も避けるべきことです。
現時点で痛みや腫れがなくても、将来的にリスクが高いと判断される親知らずは、若く健康なうちに抜歯しておくことをおすすめします。若い時期であれば骨が柔らかく、治癒も早いため、抜歯後の回復もスムーズです。将来のトラブルを未然に防ぐことで、生涯にわたって健康な歯を維持することができるのです。
即日抜歯対応で患者さんの負担を軽減
当院では、親知らずの即日抜歯を基本としています。院長は大学病院で口腔外科を専門として長年勤務してきた経験があり、その専門知識と技術を活かして、初診日に抜歯を行うことが可能です。
一般的な歯科医院では、初回は診察とレントゲン撮影のみで、抜歯は後日改めて予約を取るという流れが多いですが、当院では状態によって即日対応できるため、通院回数を減らすことができます。
ただし、炎症が強く腫れがひどい場合や、全身状態によっては、安全性を考慮して後日改めて抜歯を行うこともあります。患者さんの状態を十分に診察した上で、最適なタイミングを判断いたします。
忙しい学生生活や仕事の合間を縫って何度も通院するのは大きな負担です。また、抜歯までの待機期間中に痛みが悪化することもあります。即日抜歯が可能であれば、このような問題を解決できます。
複数本抜歯について
状態によっては複数本の親知らずを一度に抜歯することも可能です。
本来であれば数ヶ月かけて何度かに分けて抜歯するところを、一度の処置で済ませることができれば、治療期間全体を大幅に短縮できます。もちろん、患者さんの体調や親知らずの状態を十分に考慮した上で、最適な治療計画を提案いたします。
難症例について
横向きや斜めに向いている、いわゆる難症例と呼ばれる親知らずであっても対応可能です。
このような症例では、歯茎を切開したり、骨を削ったり、歯を分割して取り出したりする必要があることがあります。口腔外科の専門的なトレーニングを受けた歯科医師であれば、こうした複雑な処置も的確に行うことができます。当院では、痛みと腫れを最小限に抑える丁寧な施術を心がけており、多くの難症例に対応してきた実績があります。
親知らずが引き起こすトラブル
智歯周囲炎
親知らずは、その生え方や位置によって、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。最も多いのが「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれる炎症です。これは、親知らずの周囲の歯茎に細菌が侵入して炎症を起こす状態を指します。
細菌の増殖
親知らずが斜めや横向きに生えている場合、歯の一部だけが歯茎から露出し、残りの部分は歯茎に覆われたままになることがあります。
この歯茎と歯の間にできた隙間は、食べ物のかすや細菌が溜まりやすく、歯ブラシも届きにくいため、非常に不衛生な環境になりやすいのです。そこに細菌が増殖すると、歯茎の腫れ、痛み、膿の発生などの症状が現れます。症状が悪化すると、顔全体が腫れたり、口が開きにくくなったり、発熱を伴うこともあります。
第二大臼歯への圧迫
さらに、親知らずは手前の歯である第二大臼歯を圧迫することがあります。
横向きに生えた親知らずが隣の歯を押し続けると、その歯の根元に虫歯ができやすくなります。この位置の虫歯は発見が遅れることが多く、治療も困難です。場合によっては、親知らずだけでなく、手前の健康な歯まで失うリスクがあります。また、歯並びにも影響すると言われています。
歯原性嚢胞
また、親知らずの周囲には「歯原性嚢胞(しげんせいのうほう)」と呼ばれる袋状の病変が形成されることがあります。
これは親知らずを包んでいた組織が変化してできるもので、徐々に大きくなると顎の骨を溶かしてしまう可能性があります。初期段階では自覚症状がほとんどないため、レントゲン検査で偶然発見されることが多い病変です。
親知らずの抜歯について
抜歯が必要な場合
親知らずの抜歯が推奨されるのは、主に以下のような状況です。
- 繰り返し智歯周囲炎を起こしている場合一度炎症が治まっても、親知らずの位置や生え方が変わらない限り、再び同じトラブルが発生する可能性が高いためです。
- 親知らずや隣の歯に虫歯ができている場合特に親知らずが斜めに生えていて治療器具が届きにくい位置にある場合は、適切な治療が困難なため抜歯が選択されます。
- レントゲン検査で嚢胞の形成が確認された場合放置すると顎の骨を溶かしてしまう可能性があるため、早期の抜歯が必要です。
- 歯列矯正を予定している場合親知らずが歯並びに悪影響を与える可能性がある場合、矯正治療の前に抜歯を行います。
- 虫歯や歯周病の予防的な抜歯親知らずが斜めに生えていると、手前の大切な第二大臼歯との間に汚れが溜まりやすく、将来的に両方の歯が虫歯や歯周病になるリスクが高まります。症状が出る前に抜歯することで、手前の健康な歯を守ることができます。
抜歯後の経過
抜歯後の症状
親知らず抜歯後は、個人差はありますが、2〜3日程度、痛みや腫れが生じることがあります。これは手術による正常な反応であり、処方された痛み止めを適切に服用することで管理できます。
抜歯後の穴には「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血の塊ができます。これは傷口を保護し、治癒を促進する重要な役割を果たすため、取れないように注意が必要です。血餅が取れてしまうと「ドライソケット」という状態になり、強い痛みが続くことがあります。
抜歯後の注意事項
- 抜歯当日は激しい運動や長時間の入浴を避け、患部を安静に保つことが大切です。
- 抜歯した部位を舌や指で触らないようにし、強いうがいも避けましょう。
- 食事については、抜歯当日は柔らかいものを選び、患部の反対側で噛むようにしてください。
- 飲酒や喫煙は治癒を遅らせるため、少なくとも数日間は控えることをおすすめします。
完治までの期間
多くの場合、1週間から2週間程度で抜糸を行い、完全に傷口が治癒するまでには4週間程度かかります。
よくあるご質問
親知らずは必ず抜かなければいけませんか?
いいえ、必ずしも抜く必要はありません。
親知らずが正常に生えていて、上下でしっかり噛み合い、清掃も十分にできる状態であれば、抜歯は不要です。ただし、痛みや腫れなどのトラブルがある場合、隣の歯に悪影響を与えている場合、今後問題を起こす可能性が高いと判断された場合には、抜歯が推奨されます。
親知らずの抜歯は痛いですか?
抜歯中は局所麻酔を使用するため、処置中に痛みを感じることはほとんどありません。
ただし、麻酔が切れた後に痛みが生じることがあります。当院では痛み止めを処方しますので、適切に服用することで痛みをコントロールできます。また、口腔外科の専門的な技術により、できるだけ痛みと腫れが少ない施術を行っています。
抜歯後、どのくらいで普通の生活に戻れますか?
個人差がありますが、多くの場合、翌日から通常の生活は可能です。
ただし、抜歯当日は安静にし、激しい運動や長時間の入浴は避けてください。腫れや痛みは2〜3日程度で治まることが多く、1週間程度で抜糸を行います。完全に傷口が治癒するまでには4週間程度かかります。
親知らずを抜くのに適した時期はありますか?
一般的に、親知らずは若い時期(20代前半まで)に抜いた方が、骨が柔らかく、治癒も早い傾向にあります。
また、大学受験や就職活動、大切なイベントの前は避け、比較的時間に余裕のある時期を選ぶことをおすすめします。女性の場合は、妊娠を予定している方は妊娠前に抜歯を済ませておくと安心です。
横向きに生えている親知らずも抜けますか?
はい、当院では横向きや斜めに生えている難症例の親知らずにも対応しています。
院長は大学病院の口腔外科での経験があり、このような症例を多数手がけてきました。難症例であっても、適切な診断と丁寧な処置により、痛みと腫れを最小限に抑えた抜歯が可能です。まずはレントゲン検査で状態を確認し、最適な治療計画を提案いたします。

