入れ歯やブリッジとの最大の違いは、隣の歯に負担をかけることなく、顎の骨に直接固定される点にあります。
チタンは人体との親和性が高く、骨と結合する「オッセオインテグレーション」と呼ばれる現象を利用しています。
この結合が確立することで、インプラントは骨の一部として安定し、自分の歯に近い感覚で噛めるようになります。
インプラント
インプラントとは
顎の骨に固定する「第三の歯」
インプラントとは、歯を失った部分の顎の骨の中にチタン製の人工的な根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を取り付けることで、見た目と噛む機能を回復させる治療法です。
入れ歯やブリッジとの違い

また、顎の骨は歯がなくなると刺激が伝わらなくなり、徐々に骨が痩せていく(骨吸収)という問題が生じます。
インプラントは骨に直接埋入されるため、噛む力が骨に伝わり、骨吸収を抑制する効果も期待できます。
入れ歯やブリッジにはないこの特性が、インプラントが長期的な口腔機能の維持に優れているとされる根拠のひとつです。
当院のインプラント治療の特徴
抜歯即時埋入
–抜いた日に埋入し、仮歯まで装着
当院が特に力を入れているのが「抜歯即時埋入」です。これは、歯を抜いたその日のうちにインプラント体を顎の骨に埋め込み、さらに同日中に仮歯(プロビジョナル)を装着するまでを行う手術法です。
従来の方法では、抜歯後に数カ月の治癒期間を設け、骨が安定してからインプラントを埋入する手順を踏んでいました。
抜歯即時埋入では、抜歯直後の骨がまだ新鮮な状態であることを活かし、その場で埋入を行います。
この方法が適用できる場合、治療期間を大幅に短縮でき、歯のない期間を最小限に抑えることができます。
ただし、この方法を安全に行うためには「初期固定の強さ」が確保できていることが前提条件となります。
インプラントが骨に十分に食い込んでいなければ、噛む力(荷重)をかけた際にインプラントが動いてしまい、骨との結合が阻害されます。
当院の仮歯装着へ進む判断基準
当院では、埋入時のトルク(締め付ける力)が40N・cm以上、ISQ値(インプラントの安定性を示す数値)が70以上であることを確認した上で、当日の仮歯装着へ進む判断をしています。
感覚的な判断ではなく、数値で安全性を確認してから次の工程へ進む体制を整えています。
骨が不足している場合の骨造成にも
対応
インプラント体を安定して埋入するためには、一定量の骨が必要です。骨の量が足りない場合には「骨造成(こつぞうせい)」と呼ばれる処置を組み合わせます。
骨造成とは、骨が不足している部分に自家骨や骨補填材を填入し、インプラントを支えられる骨量を確保する処置です。
当院ではこの骨造成にも対応しており、骨の状態が理想的でないケースでも、必要な準備を整えた上で治療を進めることができます。

2つの専門研究組織への参加
–従来型から脱した最新のインプラント治療を実践
当院の院長は、インプラント治療に関する2つの異なる専門研究組織に所属し、継続的に研鑽を積んでいます。それが「即時荷重研究会(ILSC)」と「FIDI(Field Implant Dentistry Institute)」です。
それぞれ追求するテーマや学びの視点が異なり、当院はその両方に参加することで、手術の精度と治療後の長期管理という2つの側面から、インプラント治療の質を高めています。
即時荷重研究会(ILSC)
―安全な即時埋入・即時荷重のための
「4Sコンセプト」
即時荷重研究会(ILSC)は、林揚春先生が提唱する「4Sコンセプト」を核に、抜歯即時埋入と即時荷重を安全に実践するための手法を体系化した研究会です。
当院の院長はこの研究会のベーシックコースを受講しており、4Sコンセプトをインプラント治療の考え方の軸として取り入れています。
4Sコンセプトとは
4Sとは、Short(短期間)・Simple(簡便)・Small(低侵襲)・Safe(安全) の4つの原則です。
- Short(短期間) :抜歯・埋入・仮歯装着を同日に行うことで、治療全体の期間を短縮
- Simple(簡便):術式を可能な限りシンプルにすることで、難しい症例でも予測可能な結果に近づける
- Small(低侵襲):切開の範囲や骨を削る量を最小限に抑え、術後の腫れや痛みを軽減
- Safe(安全):トルク40N・cm以上・ISQ値70以上という明確な数値基準で初期固定を客観的に確認し、安全性を担保
FIDI(Field Implant Dentistry Institute)
―補綴で終わらない、全身の健康を見据えたインプラント治療
FIDIは、インプラント治療をテクニックの習得だけで完結させず、「患者様の健康を長期にわたって維持すること」を目標に掲げる研究組織です。
院長はこのFIDIの年間コースを受講しており、より長期的な視点での治療計画と管理の考え方を継続的に学んでいます。
FIDIが特に重視しているのが「欠損ドミノ」という概念です。これは、歯を1本失うことをきっかけに、隣接する歯や噛み合わせへの負担が連鎖的に増大し、やがて全身の健康にまで影響が波及するという考え方です。
歯の欠損が引き起こす咀嚼機能の低下は、栄養摂取の偏り、代謝疾患のリスク上昇とも関連しており、インプラントによる機能回復はこの連鎖を断ち切る意味も持っています。
FIDIはこの視点をもとに、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士がチームとして患者様の長期的な口腔の健康に関わることを重視しています。
補綴治療を行うことがゴールではなく、その後の口腔機能を維持し続けることまでを治療の一部として捉える姿勢は、当院の予防歯科の考え方とも深く一致しています。
従来型との違い
―「治して終わり」ではなく「機能し続けることを前提にした治療」
従来のインプラント治療では、インプラント体を埋入して上部構造(人工歯)を装着した時点を治療の完了とする考え方が一般的でした。
しかし当院が参加するILSCとFIDIはいずれも、この「補綴完了=治療終了」という枠組みを超えた治療のあり方を追求しています。
抜歯から仮歯装着までを最短で安全に行う手技(ILSC)と、その後の長期的な口腔機能の維持・全身の健康管理(FIDI)という、2つの異なる軸の学びを診療に統合させることが、当院の目指すインプラント治療の形です。

サージカルガイドに
頼り切らない、
口腔外科専門医の経験と技量によるインプラント手術
当院の院長・齋藤は口腔外科専門医の資格を持ち、大学病院での豊富な臨床経験を持つ歯科医師です。
インプラントの埋入手術は口腔外科の中核をなす処置であり、一般の歯科医院では対応が難しいとされる複雑な症例にも対応できる体制を整えています。
インプラント手術では術前にコンピュータで埋入位置を計画し、手術時に誘導する「サージカルガイド」を用いることがあります。
ガイドは位置決めの目安として有用な一方で、実際の手術では骨の硬さや形、出血の状況によってガイド通りに進まないケースも生じます。そのような場面で重要になるのが術者の判断力と技術です。
当院では、サージカルガイドをナビゲーションとして参照しながらも、最終的な埋入位置の判断は術者の経験と臨床的判断に基づいて行っています。これは、数多くの口腔外科手術で培われた専門医としての技量があるからこそ可能な手術スタイルです。
完全個室のオペ室と静脈内鎮静法による安心できる治療環境
当院にはインプラント手術専用の完全個室オペ室を完備しています。
手術は感染管理が特に重要であり、個室での実施は感染リスクの低減に直結します。また、術者が手術に集中できる環境を確保するうえでも重要な設備です。
さらに当院では、治療中の痛みをできる限り抑えることを大切にしています。手術への不安や恐怖心が強い患者様には「静脈内鎮静法」(点滴で鎮静剤を投与し、うとうとした状態で治療を受けられる方法)にも対応しています。
意識はありながらも緊張や不安が和らいだ状態で手術を受けることができるため、「怖くて踏み出せなかった」という方にも選択肢のひとつとしてご検討いただけます。

インプラント治療の流れ
- 初診・精密検査レントゲン・CTによる骨量・骨質の評価、口腔内全体の診査・診断
- 治療計画の立案・説明抜歯即時埋入の適応判断、骨造成の要否確認、費用・期間の説明
- 手術(抜歯・埋入・仮歯装着)個室オペ室にて実施。適応例では抜歯・埋入・仮歯装着を同日に行う
- 経過観察・メンテナンスインプラントと骨の結合を確認しながら上部構造(最終的な人工歯)を装着。その後は定期的なメンテナンスへ
インプラントを
長持ちさせるために
術後のメンテナンスと予防歯科の重要性
インプラントは「入れて終わり」ではない
インプラントは人工物であるため、自分の歯のように虫歯になることはありません。しかし、インプラントの周囲の歯茎や骨は生きた組織であり、細菌による炎症から守る必要があります。
この炎症を「インプラント周囲炎」と呼び、放置すると歯茎が腫れ、骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまうリスクがあります。
インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいまま進行することが多く、定期的なプロフェッショナルケアによって早期に発見・対処することが、インプラントを長期間維持するうえで欠かせません。
インプラント周囲炎を防ぐ
定期メンテナンス
インプラント周囲炎の主な原因は、歯茎の溝に蓄積した細菌の塊(バイオフィルム)です。バイオフィルムは通常の歯磨きでは完全に除去することが難しく、歯科衛生士による専門的な機械的清掃(PMTC:Professional Mechanical Tooth Cleaning)が必要です。
当院では、インプラント治療後も定期的なメンテナンスを継続的に行うことで、インプラント周囲の組織の健康状態を管理します。
また、インプラント周囲炎のリスクは、残存する自分の歯の状態とも深く関係しています。
口腔内の歯周病菌が多い状態では、インプラント周囲にも同じ細菌が移行しやすくなります。インプラントだけを管理するのではなく、口腔全体の環境を整えることが重要です。
当院が大切にする
「長期予防型」の歯科医療
当院は「その場しのぎの治療で終わらせない」という考えを診療の根本に置いています。
インプラント治療も例外ではなく、手術が成功することがゴールではなく、その後も機能し続けることを目標としています。

当院は「口腔機能管理強化型歯科診療所(口管強)」に認定されており、全国でもわずか17%しか取得していない施設基準です。
この認定は、単に治療を行うだけでなく、患者様の口腔機能を長期的に管理・サポートする体制が整っている歯科医院に与えられるものです。
インプラント治療後も、この体制のもとで予防歯科と一体化したメンテナンスを継続的に提供します。
インプラントに限らず、虫歯・歯周病・噛み合わせを含む口腔全体の健康を長期的に守ることが、インプラントの寿命を延ばし、残っている自分の歯も守ることにつながります。
当院では、インプラント治療を「口腔全体のトータルな健康管理」の一部として位置づけています。
よくある質問
Q.抜歯即時埋入は誰でも受けられ
ますか?
全ての方に適用できるわけではありません。インプラントを支えるだけの骨量・骨質が確保できること、また埋入時に必要な初期固定(トルク40N・cm以上、ISQ値70以上)が得られることが条件です。
抜歯の原因となった感染の状態なども考慮したうえで、術前の精密検査・診断を経て適応を判断します。
Q.手術当日はどれくらい時間がかかりますか?
症例によって異なりますが、抜歯・埋入・仮歯装着までを同日に行う場合は、準備・処置・術後確認を含めて数時間かかることがあります。
術前に具体的なスケジュールをご説明しますので、当日の予定には余裕を持っていただくようお願いしています。
Q.術後の痛みや腫れはどの程度
ですか?
4Sコンセプトの「Small(低侵襲)」の原則に基づき、切開や骨を削る範囲を最小限に抑えることで、術後の腫れや痛みを軽減することを目指しています。
ただし個人差はあります。術後は処方された痛み止めや抗生物質を指示通りに服用していただき、激しい運動や飲酒は一定期間お控えください。
Q.インプラントはどのくらいの期間
使えますか?
適切なメンテナンスを継続した場合、10〜20年以上機能することが報告されています。長期的な安定のためには、定期的な歯科検診とご自身によるケア(ブラッシングなど)が不可欠です。
インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こす「インプラント周囲炎」を防ぐことが、長期使用の鍵になります。
Q.骨が少ない場合はインプラント治療を断られますか?
当院では骨造成にも対応しています。骨の量が足りないからといって直ちに治療をお断りするわけではありません。
CT検査などで骨の状態を正確に評価したうえで、骨造成を組み合わせたプランを含め、患者様の状態に合わせた治療の選択肢をご提案します。

